1990年代生まれの漫画論。

大事なこと・好きなことを忘れないように。欲しいものを叫び続ける。

『血と灰の女王』紹介&応援記事 【久々にきた熱い漫画!!】【2016年12月30日に始まったばかりの漫画】

はじめに

 個人的に今一番イチオシの漫画『血と灰の女王』の感想&紹介記事です。漫画論記事ではないです。

 一巻が発売されてからすぐにAmazonにしっかりとしたレビューを投稿して満足していたのですが、やっぱり好きなものはしっかりと応援しないとなぁーと思って、改めてこのブログで紹介することにしました。人気がなくなったせいで打ち切られたり、作者が下手な人気取りに走って内容がお粗末になったりしたら嫌ですからね。

大事なことは叫び続けよう!!好きなことは忘れないようにしっかりと言おう!!

ということで漫画の紹介です。ネタばれは極力避けます。

 

血と灰の女王はどんな漫画

 ざっくりと言うとこんな感じです。

              1.グロい描写

              2ヴァンパイアとなった怪人たちが凄惨な殺し合いに挑む

              3.だけど主人公は倫理的に好感が持てる清々しい普通の高校生

              4「善君って、いつも、いろんな事を、よく見てるでしょ?きっといつも捜してるのね。灰色の中の真っ白い瞬間を。一生懸命。」

              5そして描きたいものを描き切れる高い画力

 4つ目は、好き過ぎて!好き過ぎて!!たまらない!!お気に入りのエピソードからセリフをそのまま抜粋しました。読んでない人にとっては意味不明かと思いますが、このエピソードとその前後の話にはこの漫画の真骨頂が詰まっているのです。 

 ……と思わず話がとんでしまいましたが、いきなり本質的なところから話し始めても分かりづらいので順を追ってこの漫画の特徴と魅力を説明していきます。

グロい描写

 裏サンデーというWeb漫画(またはマンガワンというスマホアプリ)で連載されているのですが、始まった当初は炎上商法ばりにグロ描写が続きました。これには兎にも角にも人の目を集めないと話にならないという、(少年サンデーで前作『ドリー・マー』が打ち切りの憂き目にあった)作者の教訓がきっとあったのでしょうか。とにかくスプラッターな描写が多いです。どれぐらいのグロかというと、こんなもんです。 

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 一枚絵で見ると強烈ですね。ただ読んでみると、グロはグロでもあまりしつこくはなく、また精神的に追い込むような描写もないので、想像よりかは読みやすいと思います。といってもこの一枚絵でアウトな人にはやはりオススメはしない作品ですがね……。ただ誤解がないように。この漫画の魅力は決してグロ描写ではないです。グロ描写は香りを惹きたてるスパイスでしかありません。

ヴァンパイアとなった怪人たちが凄惨な殺し合いに挑む

 ストーリーは非常にシンプルで、「何かしらの要因でヴァンパイアになった人間たちが次期ヴァンパイア王を決めるべく殺し合いを始めた。」というものです。王になったものは世界のすべてを支配できるとのことで、たいへん分かりやすいです。主人公は悪いヴァンパイアを世にのさばらせないためにヴァンパイアとして参戦し、同じくヴァンパイアであるドミノ(単行本1巻表紙の女の子)とともに王を目指します。

 とまぁ、ここまでは公式サイトのあらすじにも書かれている「」の部分でしかありません。これだけでは、きっとこの漫画は単なる画力が高いスプラッタ系キワモノアクション漫画でしかなかったでしょう。

じゃあ、いったい。ストーリーの裏側にはいったいなにがあるのか???もったいぶらずに言うなれば、それは、作者の人間への素朴な愛です。それも押しつけがましさや説教臭さを一切感じさせない、王道少年漫画のような熱くて爽やかで純粋できれいな愛です。結論を言ってしまえばこの作品の裏のストーリーとは、主人公が凄惨戦いの中でどれだけ人間の愛を見つけることができ、どれだけ人間として倫理的に立ち向かっていけるかということなのです。

主人公は倫理的に好感が持てる清々しい普通の高校生

 この主人公が本当にいい子なんです!凄惨な絵面の中にあっては殊更この子のきれいな心がまぶしく光輝くのです!!!!なにがいいって、まずこの主人公の男の子は、いたって普通の少年なんですよ。肉体や知能に恵まれているわけでは無ければ、特殊な才能を持っていたり、異常に恵まれた環境で育ったってわけではないんです。本当に普通の高校生です。また性格というところをみてみても、普通なんです。少し前に流行ったデスゲーム系漫画にありがちな主人公像のように、世の中を異常に達観していたり、ニヒルなキャラを演じていたり、あとはラノベの主人公にありがちなやれやれ系主人公だったりウジウジ系主人公でウジウジと言い訳ばかりしていつまでも何も行動しなかったり……。

 善君(主人公)はそんなことは決してありません!!!!この子は物事を素直に観ることができて!!素直に感情を表すことができて!!葛藤しながらも人の優しさや人の気持ちをしっかりと見つけることができて!!!!そして口先だけではなくしっかりと行動するのです!!!!!!!主人公は間違いなく正統派の少年漫画です!!!!

 あまりに屈託のない主人公の行動っぷりに、読んでるだけで心が浄化されます!!!!主人公はすごく素直で純粋で、そしてすごくいい子なんです!!!!あえて私はこのグロテスクで凄惨な描写ばかりあるこの漫画が、『けものフレンズ』の純粋さにも通じるものがあると言います!!!

「善君(主人公)って、いつも、いろんな事を、よく見てるでしょ?きっといつも捜してるのね。灰色の中の真っ白い瞬間を。一生懸命。」

 そして、そんな温かい主人公の人間性を象徴するセリフが、さっきも紹介したこれなんです!!!!そしてこのセリフはこの漫画のテーマをも暗示してるのです!!!すなわち、『血と灰の女王』とは、主人公が曇り空(灰色)のような人生の中から人間の優しさ「真っ白い瞬間」を捜しだす物語なのです!!!主人公は普通の高校生だと言いましたが、一つだけ特筆すべき特徴があります。それは「人をよく見る」ということです。相手がどんな狂人だろうと、悪人だろうと、小さなしぐさからその人となりを観察し、優しさや人間味を探し出そうとします。

 ただ一方で、さっきのセリフの後にも続いているセリフなのですが、主人公は「よく見ている分…辛い事や汚い事…黒い部分もいっぱい見て」います。繰り返し言いますが、主人公は基本的に普通の高校生です。普通の高校生らしく、心が弱い一面も持っています。あまりにつらい現実に、おちこむ時もあります。

 そんなときに励ましてくれるのが、ドミノなのです!!(やっとでてきた!表紙の女の子の話!!!!)。まるで『けものフレンズ』でサーバルちゃんがかばんちゃんを励ますかのように、絶妙なタイミングでドミノは主人公を奮い立たせるのです。そうして主人公は先が見えない凄惨な戦いの中でも「真っ白い瞬間」を探し続けることができるのです。

ただ純粋に人間の優しさ(真っ白い瞬間)を追い求めるという美しいテーマにつけくわえ、適度な挫折と葛藤・女の子からの応援と説教、そして凄惨なヴァンパイア同士の戦い、つらい現実。これらの要素がバランスよくブレンドされたことで、この漫画の面白さは名作の卵と言えるレベルにまで昇華されているのです。 

 (ただ悲しいかな・・・悲しいかな・・・・・・ここまでいっぱい熱く語ったけど、これってほとんどが2巻以降の話なんだよね!!!!!!!!!!!!!!!さっき抜粋したセリフだって実は発売中の一巻にはないんだ!!最初にポロって言ったけど、この漫画の最初の方ってグロ表現ばっかりなんだね!!!!!このセリフは未発売の二巻にはいってるよ!!!!!だからこんなに魅力を語ったところで単行本派の人はまだ見れないんだ!!!!(発売日は今年の7月ぐらいだっけな。。。まだまだ先だ。)ただスマホで「マンガワン」のアプリをダウンロードすれば、一日ごとに無料で読める時間は限られているものの、単行本を買わずとも全話無料で閲覧できるので気になった人は是非とも読んでほしいです。)

そして描きたいものを描き切れる高い画力

 この漫画の好きなところはひとまずだいたい語ったので、最後に漫画の面白さを支えている先生の高い画力と、そこから感じられるセンスの良さを紹介して、記事を終わりにします。

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 ね?熱さと美しさが伝わってくるいい漫画でしょ。気になった人は是非とも単行本を買ってください。誰も買わないと容赦なく打ち切りになってしまうので!!!

大事なことは叫び続けよう!!好きなことは忘れないようにしっかりと言おう!!

 ここまでお読みいただきありがとうございました。気に入っていただけましたらツイッター等で拡散していただけると幸いです。現状ブログの訪問者数が毎日3-4人しかいないので、すごく喜びます。