【感想・まとめ]いちご100%
いちご100%感想
自分がAmazonに投稿したレビューをそのままコピーして記録しています。アクセス対策を兼ねています。
なお、Amazonのレビューとは別に、『いちご100%』全巻通して考えたことを、このリンクの先の記事でまとめています。(長文です。)
【いちご100%】 夢と成長が副題の恋愛漫画。「夢・努力・美少女」。2000年代前半の漫画。
1巻
夢と成長が副題の 恋愛漫画。「夢・努力・美少女」
かわいい女の子。完成度の高いストーリー。緻密で感情表現に富んだ絵柄。そしていちごパンツ。
当時少年だった読者の心を鷲づかみにし、今なお異常なほどの存在感を発揮している本作。
連載が終わって10年以上経つが、今読み返してもその面白さと甘酸っぱさは色褪せない。
当時は気づかなかったが、この作品は、「甘酸っぱい恋愛漫画」「えっちな美少女漫画」という魅力のほかに
「夢を追いかける主人公」という青春漫画らしい爽やかな一面を持っている。
無個性で無趣味な主人公が理由もなく美少女にモテる話はそれはそれで面白いが、
本作の主人公は夢という強烈な個性を持っている。
夢が物語の主軸となり、その過程で女の子たちが真中に惚れていく。
高い画力のおかげで、ただでさえヒロインたちがかわいい本作。
そんなヒロインたちが「主人公の夢を応援し、主人公とともに歩もうとする」ことで、
読者は彼女たちのことをより親身に感じることができ、
そして彼女たちの愛らしさと魅力が相乗的に加速する。
彼女たちが未だに愛され、未だにその魅力をめぐって掲示板が荒れることがあるのも、
そういった理由があるからだと思う。
主人公がハーレム的にモテる話は数あれど、
主人公が夢を追いかけている恋愛漫画は珍しい。
そういう意味でも、今なおオススメの一作です。
携帯電話が普及していないなど、全体的に2000年代前半の文化や明るさが残っている作品なので、
今だからこそ面白く読めるという部分もあるかもしれません。
「主人公が何かに頑張っていて、そんな主人公がモテまくる話がよみたい」という方は、絶対に買うべきです。
2巻
はじまる三角関係。ゆれうごく人間関係。河下先生の画力が光る。
女の子に応援されながら高校入試合格を目指す、という勢いにあふれた2巻です。
恋愛方面についても三角関係も表面化してきて、面白くなってきます。
主人公もウジウジすることはなく、えっちな妄想もそこそこに、頑張ってヒロインたちに釣り合う男になろうと決意していて、爽やかに感じます。
どの点をとっても言うことがない2巻です。
3巻
爆乳娘さつき・盗撮魔の犯罪者外村・黒川先生 登場。話のテンポは落ちる。だがしかし ,
3巻以降高校生編が始まります。
作者が最終巻のあとがきで言っていることですが、もともと中学生編までしか話の構想がなく、第一話執筆段階では高校生編の構想はありませんでした。
また同時に、「真中・東城・西野・大草・小宮山」以外のキャラクターは一週間で考え出さなければいけなかった人だったと、同じくあとがきにて暴露しています。
さつきの顔は、なんとペン入れする直前まで顔が決まっていなかったそうです。
第三のヒロイン・北大路さつきが登場する高校生編は話のテンポが落ち、お色気ハプニングのようなものが大盛りになっていて、行き当たりばったりな状況が窺い知れます。
それでも、流石は河下先生。すぐに方向性を修正し、3巻の終盤あたりからは話の勢いが戻ってきます。
ただ言うまでもなく女の子はみんなかわいいので、最初の方の話も満足です。
西野つかさは髪型を変えてパワーアップしてかえってきます。
複雑な感情が入り混じった3巻ラストの西野つかさのせつなさは必見です!!!!!
もはやこれは河下水希先生の達人芸と言っても過言でもありません!!!!!
この西野つかさのエピソードだけで満点☆5です!
4巻
文化祭という目標が与えられる。しかし恋愛方向の話はここからマンネリ化してくる
3巻のレビューでも書きましたが、作者はあとがきで、第一話執筆段階では高校生編の構想はなかったと暴露しています。
3巻は風雲急な終わり方をし、その流れで真中にも目標が与えられます。
そう、文化祭での映画発表です。
さぁ西野つかさに釣り合う男になるためにも高校でやりたかったことをやるぞ!!
と青春漫画らしく勢いついたところで、同時に真中の優柔不断っぷりも本格化します(笑)
誰か一人に入れ込んでいる読者にとってはイライラする内容になってきます(笑)
しかしそこは流石の河下先生。各キャラクターの心情をしっかりと書きこむことで、単なる優柔不断なハーレム話に陥ることを防いでいます。
この巻だけ見たら面白くないどころか真中に不快感すら覚えることでしょう。
しかし、1巻からしっかりと読み込んでいれば、真中・つかさ・東城の心情の変化から目が離せなくなります。
(真中の心情に納得がいくかどうかはまた別問題ですが。)
話の運び方も上手です。
たとえば、東城がナンパ男に絡まれるシーンがありますが、河下先生は、そこで安易に主人公が助けに入りそして東城は主人公に惚れ直す・・・なんていう安い展開には絶対にされません。
東城は自分で解決するも、しかしそれをきっかけに東城にもある葛藤がうまれ、一人雨の中に佇み、そこへ主人公がやってきて、、、という魅せる展開を繰り広げます。
マンネリ化という声も聞こえますが、まだまだ話は面白いです。☆5。
5巻
お色気を交え、話は遅々として進まないようにも見えるが……
(ネタバレ避けます)
お色気とハーレムっぷりと優柔不断っぷりが加速し、そんな話が増えます。
ですが、その中で、西野の話だけは、決して話を延命させるためではありません。
西野と真中を取り巻く「夢・成長・楽しいこと」というキーワードを1巻からしっかりと追っていれば、「そうきたか!!!!」と唸らずにいられない展開です。
37話で、「これが俺のやりたかったことなんだ」と誇らしげに語る真中を複雑な顔でじっと見つめる西野つかさの切ない顔をよく見てください。
情報量が少な過ぎて1回読んだだけではその真意がつかめないと思いますが、この1コマは本巻の西野の話だけでなく、後々のストーリーにも影響を与えた、超重大な伏線であり、とてつもなく深い感情表現であり、河下水希先生の真骨頂ともいえるシーンです。
そんなつかさの心情に気がつかない真中も物語上いい味を出していますが、残念なのは、
それがこの話に大量にある「優柔不断」のひとつにしか見えないこと。
物語上、非常に意味のある「無神経さ」だったのに、他に大量にある無意味な「無神経さ」に埋没しています。
本当に惜しい。西野の話だけに絞ってみれば、☆5を超えて100個ぐらい渡したかった味わい深い巻だった。
他のヒロインの話に蛇足感が強過ぎたので、☆4。
この巻から唯ちゃんが登場します。
どういうわけかヒロインとしては物語に参加せず、物語を動かすキーパーソンの役を務めることが多い妹キャラです。愛らしくて、個人的につかさの次に好きなキャラです。
6巻
天地登場。マンネリ加速。レアキャラ西野。
タイトル通りの展開です。
東城をめぐるライバルとして天地が登場しますが、この時点では非常に安易でお粗末なキャラクターでした。
天地は巻が進むごとに魅力的なキャラになっていき、最終的に自分にとって大好きなキャラクターの一人になるんですがね。。。
この時点はマンネリを打破しようと無理やり登場させた感が満載です。結果的に真中の優柔不断が悪目立ちしてしまいました。
西野つかさファンの自分にとっては、このドロドロとした泉坂高校での痴話喧嘩につかさちゃんが巻き込まれなくてよかった、別の高校に行ってくれて本当にありがとう、といったところです。
つかさちゃんは、時たま君臨するレアキャラの女神のような存在になっていました。
真中がまっとうなラブコメしているのは、滅多に現われない西野つかさちゃん相手だけじゃないかな、
と思わされるような、東城とさつきとの掛け合いにマンネリが加速し始めた6巻です。
それでもお色気にドキドキするので☆4.
7巻
やっぱり西野が出てくる話は面白い!! ,
他の高校に行って以来レアキャラ化していた西野ですが、その分、現われるたびに真中に大きな影響を残していきます。
西野つかさに触発され、暗闇のなかを走り出す真中の姿がかっこいいです。
青春ラブコメ漫画のヒロインとしては傑作級の活躍ですね。
作中時間は高校2年生になります。
また西野がメインの話が多くなったことで、マンネリ感が解消されました。
新キャラの外村美鈴はいい味を出しています。映画通の新入部員として、物語にいい影響を与えています。
また、さつきと東城の無意味なお色気回が少なくなったせいか、物語のテンポもよくなりました。
お色気に頼らなくても十分面白いな、と思わされる7巻でした。
文句なしに☆5です。
しかし真中は何回さつきに向かって「さつきからはもう何ももらえない」って決意すれば気が済むんでしょうかね。。。
8巻
西野がストーリーに絡み、東城は夢に向かって飛躍。舞台は今年の合宿へ。面白そうな展開。なのに・・・
4巻で西野が見せた切ない表情の伏線が回収されました。(詳しくはレビュー見てください。)
そう、満を持して西野が今年の撮影合宿に参加します。
一方で東城は文芸で賞を取り、夢に向かって大きく飛躍します。
そんな東城へ真中は自分の実力のなさと情けなさを吐露し、東城に励まされ、奮起して合宿に挑みます。
また、それまであまり接触する機会がなかった東城と西野が、撮影合宿を通して一緒に行動することが増えます。
夢に悩み恋に悩んだ三角関係はどうなってしまうのでしょうか・・・・・・???!!
と、概要だけかけば、ものすごく面白くなるはずの巻ですが、いざ読んでみるとマンネリ感が強く出ています。
それもそのはず、河下先生お得意の繊細な感情表現が、この巻ではすっぽりと抜けて、雑な展開になっています。
どうしたのでしょうか、河下先生。今まで積み上げてきたキャラクターたちの感情や思惑はどこへいったのでしょうか。
西野と東城が一緒の空間にいて、両者の間で修羅場めいたものがなにも起こらないなんてありえますでしょうか。
映画撮影に参加できなかったことがトリガーになりあんなにドラマティックに真中をフッタ西野が、ついに合宿についてきたのに、なんの感情の吐露もしないなんてありえますでしょうか。
1年生の時の合宿のような感情と感情のぶつかり合いをどうして描かなかったのでしょうか。
あまりにもキャラクター描写が雑いです。
読者にカタルシスを引き起こし得るだけの伏線・材料がこの合宿のエピソードにはそろっていただけに、この雑さは非常に残念です。
せっかく丹念に下ごしらえした食材を使わずゴミ箱に捨て、結局カップラーメンを夜ごはんにしたようなものです。
遭難した話はいちご100%屈指のドキドキお色気ハプニング回でしたが、
全体のストーリーから俯瞰してみれば、場当たり的に描いている感じがあって非常に残念です。
それでも、絵がうまく、女の子がかわいくて、ドキドキはするので、☆4です。
9巻
【一番やばいベッドシーン!!】物語は西野ルート突入へ(+唯ちゃんの話) パティシエのライバルも登場
冒頭に唯ちゃんの話が入ります。
本編には絡んでこないサイドストーリー的なものですが、完成度が高く読み応えがある話です。
物語は明らかに西野つかさルートに突入しています。
西野つかさメインの小話が続きます。
西野つかさは思いを多くは語らず何を考えているか分からない一方、感情表現が多彩なキャラクターです。
しばらくはそんな西野に困惑しつつも振り回され、思いを募らせる話が続きます。
ここにきて、いちご100%は四角関係の話から、西野つかさとの日常という話に変わったのです。
この距離感はなんとなく、からかい上手の高木さんを思い出します。
他の方が言っているように、旧き良き恋愛漫画のエッセンスに通じているかもしれません。
恋のライバルポジションとしてパティシエが出てきましたが、これもまた絶妙な立ち位置です。
東城をめぐるライバルとして出てきた天地と違って、パティシエは「西野と同じ夢を持つ」という強力な属性を兼ね備えています。
天地はかませ犬のような扱いでしたが、こちらは頼れる男としての存在感が強く、西野との物語に良いアクセントがつきました。
そしてこの巻の見どころは、なんといってもベッドシーンです!!
リアルタイムでも読んでいましたが、このエピソードがいちご100%の中で一番ドキドキさせてくれました。
ここでお礼を言わせてください!!!!!!
いい思い出をありがとうございます!!!河下先生!!!
東城ファンには申し訳ないですが、東城は西野の引き立て役になり下がっています。
さつきにいたっては、すでにヒロイン競争から脱落したようなものです。
自分は西野ファンなので、文句なしに☆5です。
10巻
西野のベッドシーンから始まり、西野の制服姿で終わる ,
そんな10巻です。
さつきや東城の話も描かれますが、主軸は西野に置かれていて、その次に新キャラクターのちなみちゃんに割かれています。
甘酢っぽさは満点で、少年の心をつかむドキドキシーンも見事です。夢とロマンに満ち溢れています。
西野とは微妙な距離感をキープしつづけていて、つかさちゃんの一挙一動が気になって仕方がありません。
四角関係ではなく、西野つかさちゃんがいる生活っていう感じの物語です。
修学旅行の一連の話は、少年がドキドキしたりロマンを感じたりするツボをよく抑えています。
少年なら誰もが夢見るあり得ない妄想を、よくもここまで漫画化できたなと感心します。
さつきや東城とのからみはマンネリ化しつづけています。
というのも彼女たちには西野つかさと違ってミステリアスな雰囲気はなく、
やることなすこと話すことはすべてどこかで見たものばかりだからです。
それでも北大路さつきはまだ読んでて楽しいです。常に全力前進でアタックしているわけですから、応援したくなります。
問題は東城綾です。同じところでウジウジ悩み結局なにもしないという、つまらないキャラクターになってしまいました。
11巻
それぞれの夢。
1巻のレビューにも書きましたが、この作品は「甘酸っぱい恋愛漫画」「えっちな美少女漫画」という魅力のほかに
「夢を追いかける主人公」という青春漫画らしい爽やかな一面を持っています。
11巻ではいくつかの小話を挟んだ後、西野と東城の夢の話が語られます。
東城は綺麗事をのべ、西野は現実的ではあるがつらい決断をしたことを打ち上げ、それぞれ真中を戸惑わせます。
まさに、甘酸っぱい青春です。キャラクターたちが恋と夢を通じて成長していっているのが目に見えます。
そして物語は加速する……!!!なんてこと、残念ながらありませんでした。
この直後に描かれているのは、なにやってんだと言いたくなるような、合コンの話とダブルデートの話です。。。もうちょっとシリアスに寄ってもよかったんじゃないですかね。
お色気なしではアンケート順位を落とすと判断されたのでしょうか。
12巻の頭までダブルデートの話は続きますが、明らかにお色気シーンが蛇足です。
「夢」と「恋」が人を成長させるというテーマ自体はよく描かれていると思うだけに、余計なお色気シーンが残念です。
12巻
妄想娘こずえちゃん登場 ネタ切れ?引きのばし? ,
12巻頭まで続いたダブルデート編はあまりにもバカらしい話の展開でしたが、真中と西野の成長という意味では欠かせないものでした。
本巻は、こずえちゃんという妄想癖のあるヒロインが唐突に現われます。
ただしストーリーにはまったく絡んでこず、彼女と関わりを持ったことで真中や他のヒロインに影響を与えるということもありません。
ただのお色気要員です。
そんなこずえちゃんがメインになる話がしばらく続きますが、
男性ウケを狙うことしか考えていなかったように思えます。
厳しい言い方をすれば、この娘は完全に蛇足です。
物語を延命させるためだけに登場した引きのばし役です。
おかげで真中の優柔不断っぷりに拍車がかかり、深く考えるとイライラしてきます。
西野つかさは、あいかわらずかわいいです。
こずえちゃんのように下品(失礼)なお色気に頼らなくても、ヒロインとして強烈な存在感を放っています。
ラストの西野と海に出かける話は、まさに健全な青春って感じがして、お気に入りの話の一つです。
いちご100%の評価に「健全」っ表現を使うことはおかしいかもしれませんが、
西野のエピソードは他の漫画と比べても、爽やかなものが多いのです。
女の子がかわいく、話は単体としてみれば面白いので☆4の価値はあります。
13巻
話が少し動く13巻。
それぞれの登場キャラクターの心情と人間関係に若干の変化が生まれます。
冷遇されていた天地も、男らしくなりました。
天地メインの話が多いです。東城もかわいいですが、天地の爽やかさの方が見所ですね。
前巻とくらべてマンネリ感がましになったので☆5です。
ただ相変わらずこずえちゃんの蛇足感は否めません。
14巻
同じことの繰り返し。真中はいつまでも同じことで悩み続ける。こずえちゃんのお色気話もいい加減鬱陶しくなってくる。
タイトル通り、悪いところが目立った本巻です。
ただ西野つかさの話だけは相変わらずクオリティが高いです。
というか他のヒロインと比べて明らかに優遇されています。
西野に、3日間だけでいいからあたしの淳平になって、とお願いされ、西野と二人っきりへ旅行へ行きます。
旅の目的地は、今は誰も住んでいない西野の実家。
そこで西野は夢と恋に苛まされた今の思いを真中にぶつけ、そして…
というディープな話があります。
夢と恋の悩みが入り混じった苦々しくも甘酸っぱい青春漫画らしい描写に、
中学生編から積み上げてきた西野とのストーリーと、
恋人になりきっていない今の微妙な距離感が合わさることで、
よりいっそう深い読みごたえを持たせています。
優柔不断が続いたせいで、ここのところかっこわるかった真中も、
この時だけは元気で爽やかでかっこいい主人公に戻っています。
こずえちゃんと東城が表面的なお色気に走っていたり、
真中にアタックするのかしないのかウジウジして同じところを走り回っている間に、
西野つかさにはこんなにも素晴らしいエピソードが用意されているのです。
恋の決着はいかに…?!と毎度煽りが入る本作ですが、西野以外のエピソードのクオリティが低過ぎます。
本作のヒロインはもっと早い段階で西野つかさ一本に絞った方がより名作になったと思いますし、
あるいは東城やさつき、こずえちゃんにもっと深いエピソードを作ってあげることでも、より名作になったと思います。
15巻
高3合宿編 ,
高3の合宿中、外村妹からの説教を経て、ようやく東城が真中に告白しようと動き出します。
ここに至るまでに、東城はあまりにも同じところで足踏みしつづけてきたので、いい加減うんざりしてきたところです。
やればできる、なにか一つでも動いてくれたら話が面白くなる、なのに何もしない。
そんな東城がようやく動き出します。
ここより以降、いちご100%は終盤へ向けてストーリーの面白さが復活します。
面白くなってきました。
16巻
多角関係がようやく終息しようとする。 ,
今までは、北大路さつきを除いてどのヒロインも真中とくっつくのかくっつかないのか分からない微妙な行動と距離感を取っていましたが、
ようやくこの関係性に大きな変化が見られます。
前前巻ぐらいまではグダグダとした展開が続き、西野つかさを除いた各キャラクターの心理描写もお粗末なものでしたが、
本巻はしっかりとかかれれています。
東城さつきや北大路さつきがえっちなイラストではなく、意味深なセリフや複雑な表情で読者を魅せます。
なお、それに対応するかのように、こずえちゃんの出番は減っていきます。
この子の役目は本当にただのお色気兼引き伸ばし要員だったのでしょうか。。。
最終巻へ向けて、このままいちご100%はヒートアップしていきます。
17巻
怒涛の17巻。物語はクライマックスへ。終わりが近づくたびに面白さが加速していく。 ,
最高の出来上がりです。
今まで溜まりにたまったものがカタルシスとして弾けた17巻です。
女の子の感情の表現力は芸術レベルです。
・さつきを探して走り出す真中を見送るさつき。
・輪投げをしながら、一番欲しいものってなんで簡単に手に入らないようにできてるんだろうね、と零す西野つかさ。
・そしてドア越しに告白する東城綾。
どのヒロインも色々な表情を見せてくれます。
こういった繊細な描写技術は河下先生の達人芸と言えるでしょう。
明らかに物語は終息へ向かっています。
しかしそれと比例して物語の構成力が飛躍的に高まっています。
河下先生のストーリーテラーとしての実力がいかんなく発揮されています。
終わりを迎えるのは嫌だけど、
終わりが近付くにつれて話が面白くなってき、
ページをめくる手が止まりません。
西野つかさともう一度付き合うまでの流れも最高でした。
今までグダグダと引っ張ってきましたが、
西野つかさを選んだ理由がはっきりと描かれていたことがよかったです。
「恋」「夢」「悩み」「不安」……今ままでこれらすべてについて真中と一緒に向き合い、
そして真中とともに一緒に成長し、心から支え合っていたのは、
ヒロインたちの中でも西野つかさだけだったのです。
東城がようやく西野と同じフィールドに立てたのは、
奇しくも西野と真中がもう一度付き合うことを決めた後でした。
本作は単なるラブコメ漫画ではなく、素晴らしい青春漫画でもあります。
東城ファンの方には申し訳ないですが、納得の結末です。
18巻
それぞれの物語に決着がつき、怒涛のクライマックスをむかえる ,
18巻は今まで積み重ねてきたスト―リーの総決算といったところでした。
怒涛のクライマックスです。
西野は真中と気持ち的にも肉体的にも結ばれ、
東城とさつきはそれぞれ自分の気持ちに整理をつけ、未来へ羽ばたこうとします。
真中は将来を見据えるべく、大学受験に取り組んだり、自力でショート映画を作るために奔走したりします。
キャラクターの心情が丁寧に描かれていて、とても読み応えがあります。
特に良かったと思うのは、1巻から一貫して描かれてきたテーマである「夢」について、
東城と真中が話し合えたことです。
「夢」を通して真中と東城が互いに成長していく姿は、まさに青春です。
(もっとも、今連載しているいちご100%外伝の展開次第によっては、それが本当に東城にとってよかったことなのかと疑問を持たざるを得ないかもしれませんが・・・。)
なんにせよ、1巻から今まで描かれてきた「夢」にまつわる描写が、
この作品の魅力を名作にまで引き上げたことは確かです。
そんな爽やかな18巻でした。
19巻
魅力再発見!!夢と成長が副題の 恋愛漫画。面白すぎて全巻レビューしてしまいました(笑)
この漫画があまりにも好き過ぎて、今さらながら1巻~19巻にまですべてレビューを投稿してきました。
だって今読み返しても面白いんですもの!!!
ネタバレを避けてレビューします。
何が面白いって、この作品の根底には「夢と成長」っていうテーマが一巻から最後まで貫かれていて、青春漫画としての一面を持っているところです!!
それが恋愛要素と組み合わさることで、この漫画を単なるラブコメではなく、名作青春漫画にまで引き上げているのです!!
「夢に向かって頑張る」という爽やかな描写が多いため、本作品の読後感は非常によく、
また、真中・西野・東城・北大路の成長と明るい未来が感じられる物語であるため、
自分もなにか頑張らなれば、という明るく前向きな気分になります。
真中に向けられたセリフとはいえ、西野つかさに「わたしをワクワクさえくれる……?」と言われると、
自分までなんだかやる気と元気が湧いてきます。
西野つかさのような美少女に釣り合う男になるには、今を頑張るしかないと気づかされるのです。
そういう意味では、今の仕事や勉強に疲れている20代30代の男の人に、読んでほしいと思えます。
今なお、読む価値がある名作です。
「夢」という要素を組み込んだ恋愛漫画は本作品のほかになかなか見当たりません。
最近まで連載されていた『二セコイ』や、今連載中の『ぼくたちは勉強ができない』
(どちらも恋愛漫画)の主人公には、『夢』と言える目標がありません。
※もっとも夢を持たない子供は珍しくないし、なにもおかしくはないので、それらの作品を否定するつもりはまったくないですが……。
「恋」と「夢」の両方をしっかりと描かれたことで深みが増した本作ですが、
そもそもこれって非常に難しいことです。
ただでさえ恋愛漫画には各キャラクターの緻密な感情表現が求められ、これだけで並大抵の作者はいっぱいいっぱいになります。
しかし河下先生はそこへ「夢と成長」という軸を組み込みました。
「恋愛」と「夢」という二つの軸があるわけですから、必然的に情報量が多くなり、テンポよくキャラクターの感情を描ききることは非常に困難になります。
それを可能にしたのが、河下先生の達人芸ともいえる、女の子の表現力です。
河下先生は心情を言葉で多くを語ることを避け、その分、女の子の表情にこれでもかというぐらい色々な感情を混ぜ込みます。
たとえば、単行本をお持ちの方は、3巻ラストの西野つかさのさみしそうな顔や、5巻37話で真中を見つめる複雑な顔を見直してください!!
たった1コマで、ヒロインのあふれ出る感情が伝わってきます。
たった1コマで、必要な情報がすべて手に入り、話が破たんすることなくテンポよく進むことを可能にしたのです。
これを達人芸と言わずなんと言うのでしょうか。
いちごパンツにしか注目して読まなかった人は、もったいないです。
是非とも「夢と成長」というテーマに気を配りながら、再読してください。
特に西野つかさに注意を払って読んでください。きっとこの作品の魅力が再発見できるはずです。
自分はこの作品を少年の頃リアルタイムで読んでいました。
河下先生!!ドキドキを本当にありがとうございました!!!!
今連載している続編にも期待しています!!